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2.2.4災害復旧計画
災害復旧計画における主要問題点は以下のとおりである。
問題点1:被災者の立場に立ったサポート体制が弱い
問題点2:必要な範囲で災害復興に係る事項に言及する必要がある
(1)問題点1:被災者の立場に立ったサポート体制が弱い
災害復旧計画に記載される項目(個別計画)としては、ア〜エのようなものが一般にみられる。
ア.災害市民相談
イ.公共施設の災害復1日
ウ.災害復旧にともなう財政援助の確保
エ.民間施設等の災害復1日資全対策
このうち、イ〜工については災害復1日事業の種類や復旧に伴う財政援助制度の概要を記述したものが多い。その中身が妥当なものであるかどうかにっいては種々議論もあろうかと思われるが、これには触れない。
ここでは、アの「災害市民相談」について考えてみよう。
発災直後の混乱を脱し、救援活動もそれなりに軌道にのってきた段階は、一方では被災者が生活再建について悩み始める段階でもある。行政サイドからは、この時期に適切な情報や助言・便宜を提供することが重要になる。
ところで、この問題を被災者の立場から考えてみよう。被災者は決して一つの問題だけに悩んでいるのではない。被災証明、税の減免、子供の転校、寝たきりの老親の世話、入院中の生活資金、職場の被災による失業と再就職、経営資金、住宅の立替え資金、住宅の共同化、家主と借地・借家人との権利・義務関係、応急仮設住宅、倒壊家屋の撤去等々たくさんのことがある。このような問題についてあるいは本人が気づいていない問題についても、関係課や関係機関をたらい回しにされるのではなく、そこに行けばこれら全ての問題について被災者の立場に立って相談にのってくれる場があれば理想的であろう。
このような視点からみた場合、現在の災害復旧計画(「災害市民相談」計画)には見直すべき点も多い。
米国ではこのようなものが、「ワンストップセンター」の名称で実現されている。日本でもできないことはないと思われる。
(2)問題点2:必要な範囲で災害復興に係る事項に言及する必要がある
1995年7月に出された新「防災基本計画」では、「防災業務計画及び地域防災計画において重点を置くべき事項」として、「災害復旧・復興に関する事項」に言及し、その中において「災害復旧・復興の実施の基本方針に関する事項」を取り上げている。
従来の地域防災計画は、災害復旧までを扱っていたのであるが、新「防災基本計画」によって、必要な範囲で災害復興に係る事項に言及する必要が出てきたと考えられる。

 

 

 

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